(2021.11.18)
柔軟剤で体調が悪くなるという声が聞こえ始め、日本消費者連盟は、2017年夏に香害に関する電話相談「香害110番」を実施しました。https://nishoren.net/new-information/9217 設定された2日間の間に、メールやファックスを含めると実に213件もの相談が寄せられました。これは国民生活センターへの一年の相談件数を遥かに上回り、香害の深刻さが明らかになりました。
これを受けて、「香害をなくす連絡会(事務局:日本消費者連盟)」が、香害解決に向けて、消費者庁をはじめとする省庁や業界団体に改善を求める活動を始めました。
香害をなくす連絡会は、2017年以来、消費者庁に対して香料自粛を求める啓発ポスターの作成を要望してきていました。その活動が実り、2020年12月に消費者庁がポスター作成の意向を明らかにしました。
2021年4月には福島みずほ参議院議員も委員会でポスタ―作成の時期を尋ね、確認の質問をして下さいました。
第204回国会 参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第3号 令和3年4月9日 発言No.099 : https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415328X00320210409¤t=1
そして、2021年7月末に消費者庁によって、5省庁連名(消費者庁/文部科学省/厚生労働省/経済産業省/環境省)のポスター『その香り困っている人がいるかも?』が作成されました。 (このポスターは消費者庁:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/ また沖縄県庁など自治体のWEBサイトからダウンロードできます:https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/shippei/kagakubushitsu.html )
日本消費者連盟ウエブサイト:『国が5省庁連名で香害に関するポスター』(2021.8.13): https://nishoren.net/new-information/16472
消費者庁は、所管の日本全国の消費生活センター等に3部ずつ、都道府県・政令指定都市の消費者行政担当課に5部ずつ紙媒体でポスターを配付しました。消費者庁の予算で紙のポスターを作成しましたので、他の省庁の分までの紙ポスターはなく、他省は、電子版ポスターでの配付となっています。
8月初めには、文科省が、都道府県と政令指定都市の教育委員会などに電子版でポスターを配付しました。この連絡は各学校まで至っているようです。各学校長の判断で、校内に掲示したり、学校HPに掲載したり、「学校だより」の記事にして各家庭に配付したり、といった周知がなされています。
また、9月初めには厚労省が事務連絡を出しました。各都道府県等の衛生主管部局に、所管域内の医療機関に対してのポスターに関する情報提供を依頼しています。山梨県公式ウエブサイト:https://www.pref.yamanashi.jp/eisei-ykm/documents/210901_2.pdf
更には、厚労省は日本薬剤師会、日本チェーンドラッグストア協会、日本保険薬局協会に対しても事務連絡を発しています。各団体の所属会員に対する情報提供、店内への掲示等での活用などを依頼するように、「周知依頼」を行っています。
【事務連絡(自治体向)】香害啓発ポスター送付状(発出版) 山梨県公式ウエブサイト:https://www.pref.yamanashi.jp/eisei-ykm/documents/210901_1.pdf
ポスターによって香害というものがあること、困っている人がいることの周知にはなります。しかし、このポスターの文言では、香害を個人差の問題として捉え、化学物質による公害であるという真実が覆い隠されています。多くの香害被害の声、識者の警鐘を、因果関係が立証されない、香害による化学物質過敏症の原因や病態、発症機序等が不明であり、疾患概念が確立していないとして放置している政府としては、こうした文言のポスターにならざるを得ないのでしょう。何より必要なのは、香害と製品の因果関係が立証されるまで様子を見るのではなく、速やかに香害の原因の疑いがある製品を政府が予防原則に則って規制することです。1日も早い規制を求めて引き続き声を上げ続けることが大切です。