02-2_5_01_香料はクマを誘引する

02-2_5_01_香料はクマを誘引する

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2025.11.7 アップロード

香料や灯油、シンナーなどのにおいが熊を誘引する

熊が住宅地に現れて人的被害が起こったことが報道されていますが、香料や抗菌剤が長持ちする洗濯洗剤や柔軟剤が多くの人に使われている現状、香害を起こす製品は熊を誘引する香料やVOCが長く強く揮発していることから、クマの被害にあった方々が合成洗剤や柔軟剤の強いニオイをさせていた可能性が考えられます。クマに襲われたある人が平素から洗剤臭が強かったという話もありました。

クマの嗅覚は犬よりも鋭く人間の5000倍とも言われており、数キロ先のわずかなにおいも嗅ぎ分けることができます。クマは食料のにおいだけでなく、香料や石油系の揮発物質にも反応し、調査するために近づいてくることは林業従事者や猟師、山間部の住民、自然保護官などには以前から広く知られており、熊の生息域に入る時は香料入り製品を使わないこと、ガソリンや灯油、ペンキなどは臭いが漏れないよう管理することは常識でした。

香料入りの柔軟剤や芳香ビーズだけでなく、抗菌消臭をうたう合成洗剤や消臭スプレー、制汗剤、日焼け止め、虫除けスプレーなど多くの日用品、化粧品は「無香料」と明記されていないかぎり、全てにかなり強い香料が入っていますが、そういった製品を使用していると嗅覚疲労が起こり、使用者や周りにいる人は自分たちが放っている香料臭がわからなくなります。しかし、クマはそのにおいを数キロ先から感じて興味を持って近づいてくる可能性があります。

熊被害を避けるためには無闇にクマを殺すことよりも有効な手段がいろいろありますが、その中の一つが無香料と言えるでしょう。クマを刺激したり誘引することがわかっている香料を使わないことはクマ被害を防ぐ大前提です。クマやスズメバチを誘引するだけでなく、香料は一般に思われているような安全なものではありません。人間やペットにとって危険な物質を多種類含む、タバコと同じように依存性のある有毒な嗜好品です。

香料からは多種類のVOC (揮発声有機化合物)が揮発しています。 現在市場にある香料の9割以上は石油から合成される合成香料。香料化学物質の半数は有毒物質に分類され、シンナー臭がするものが多いです。
香害図書館関連記事:シュタインマン博士 香料関連論文
香料成分の毒性と規制

TBSテレビ『クマの嗅覚は人の5000倍?好むニオイは生ごみ、柿…だけじゃない 灯油やガソリンにも注意【Nスタ解説】』2025年10月31日(金) :https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2262619?page=2

「山でベンチや香水は注意:秋の行楽シーズンでハイキングやキャンプなどに行かれる方も多いと思います。箕口名誉教授に注意点を聞きました。
●山のベンチや道しるべにはペンキを使用していることが多く、クマが近寄ってくる可能性がある
揮発性の強いニオイに興味を持つ習性があるため、香水や柔軟剤のニオイに気をつける

熊の生態の専門家たちは安全のため、香料使用に注意喚起をしている

米国やカナダの国立公園を管理する政府機関は、クマの生息域に入る時には以下のようにすることを推奨しています。
・香料入りヘアケア用品、制汗剤、化粧品やパーソナルケア用品などの使用は避けること
・以下のものは適切に保管すること(テントなどから離して吊るしておく):
食品と食品のにおいがついたもの、飲み物の入れ物、ゴミ、香料入り製品(洗浄剤、制汗剤、歯磨き粉、日焼け止め、虫除けスプレー、ヘアスプレーなど、食品を入れたことがなくてもプラスチック製の容器

米国 国立公園管轄の政府機関『Bear Safety: Storing Food (U.S. National Park Service)』https://www.nps.gov/articles/bearsafetyfood.htm

カナダ政府のウエブサイト カナダの公園はクマの生息地 『クマを誘引するもの』https://parks.canada.ca/docs/v-g/oursnoir-blackbear/page5

熊の被害を防ぎ、共生の方法を研究しているヘレロ氏(Stephen Herero)と生態学者のスミス氏(Tome Smith )はどのようなにおいや音、色が熊を引き寄せたり遠ざけたりするかのリサーチプロジェクトを、アラスカのカトマイ国立公園で続けています。ヘレロ氏は1985年に「Bear Attack クマの攻撃 何が彼らをそうさせるか、どうやって防ぐか」という本を出版しています。

“New Bear Safety Research” February 24, 2011″https://wherethebearwalks.blogspot.com/2011/02/new-bear-safety-research.html より抜粋:

「例えば、グリズリーは暗い色や迷彩色を無視する傾向がある一方、黄色や赤などの鮮やかな色には頻繁に惹かれることが判明した。一部のクマは鮮やかな色のテントに近づいて引き裂くが、暗い色のテントは素通りするため、カトマイ国立公園のレンジャーは迷彩テントのみの使用を採用。これによりキャンプ場へのクマの出没が半減したと報告されている。

匂いのテストでは、クマは香水、フルーツ香りのシャンプー、シトロネラ(別名 シトロネラール/シトロネロール/Citronellol /dl-シトロネラール : 虫除け剤にも入っている)に惹かれる傾向があることが判明した。また、クマ用スプレーはクマを撃退できる一方で、その匂いが逆に引き寄せることも広く知られている。テントや寝袋、衣服にクマ用スプレーを噴射するのは決して賢明ではない。一部の人々が習慣的に行う行為だが、これはトラブルの元となるだけだ!」

羆塾『ベアカントリーへようこそ クマと出会わないためのエッセンス』:http://www.beardog.jp/04bearcountry_2.html
北海道でヒグマの問題に長年取り組んでいるヒグマ塾のサイトです。クマと出会わないための情報が掲載されています。

「3. 誘引・刺激しないーーー食物の管理に準ずるが、歯磨きのペースト、石鹸、シャンプー、オーデコロンから飴・ガムまで、ヒトの世の中にある香料はおよそクマを誘引、あるいは至近距離であれば刺激する可能性がある
クマの「においの学習」をデフォルメしていえば、(特に若いクマは)はじめて感知するにおいにはおよそ接近を試み、そのクマの警戒心と欲求のバランスの中で、それの「危険度」と「美味しさ・面白さ」を確認する。「美味しくて危険はない」と学習すれば、次回からそのクマの中でそのにおいは「誘引要素」として働き、「危険だ」と学習すれば「忌避心理」を抱くようになる。そして、「美味しくも面白くもない、危険もない」と学習すれば、クマは反応しなくなる。」

6.「甘い香り」を持ち込まない!――ヒグマを刺激しない・誘引しない
 嗅覚の動物ヒグマは「におい」には極めて敏感に反応する。ベアカントリーに入る際は、香水類(オーデコロン、ヘアトニックなど)、化粧、飲食物などヒグマを誘引したり刺激したりする「香り」を身につけないように心がける。」

ハイキングや登山用品に使われる防水布のメーカー、ゴアテックスもクマの被害を避けるため香料をさけるよう注意喚起しています。:https://gore-tex.com/blog/safety-tips-hiking-bear-country

香料は古くから熊や捕食動物の狩猟で誘引剤として使用されてきた

クマは甘い香りに引き寄せられるため、狩猟に粉末・液体・ジェル状で用いられます。

アニスオイルや粉末は、古典的で極めて効果的なクマ誘引剤。アニスは甘草に似た甘い匂いです。甘草は非常に多くの漢方薬や栄養ドリンク、風邪薬などに配合されていますから、熊被害が予想される場所では使用に注意した方がいいでしょう。

バニラ、ハチミツやキャラメル、チョコレート、フルーツなどの甘い香料はクマを強く惹きつけるので、誘引剤に使われています。洗濯用品、パーソナルケア用品だけでなく、最近のお菓子やジュースは以前よりも香料が強くなっています。飲んだ後のパッケージ、缶やボトルも嗅覚が非常に鋭い熊には遠くからにおうので危険です。

熊の誘引剤として「お菓子系」「アニス」「フルーツ系」がよく使われますが、フローラル系なら安全という保証は全くありません。一つの香料は数十から数百の化学物質をブレンドして作られますが、非常に多くの香料に熊を誘引することが知られている香料化学物質、例えばフローラル系、シトラス系、ハーブ系の香料に使われるシトロネラール(シトロネラ)が含まれています。香料はすべて熊を誘引すると考えた方がいいでしょう。虫除け剤にもシトロネラが使用されています。

匂い誘引剤は、野生動物を撮影するためのカメラにも誘引する目的で塗布されています。
“Effects of scent lure on camera trap detections vary across mammalian predator and prey species” 2020 May 12:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7217433/

「匂い誘引剤は、大型・小型肉食動物のサブグループおよび特にオオヤマネコを含む捕食者群全体の検出率を著しく増加させたが、ハイイロオオカミの検出には影響しなかった。匂い誘引剤は、小型哺乳類・有蹄類サブグループおよび特にヘラジカやリチャードソンジリスを含む被食種種の検出には影響しなかった。多種の調査を設計・解釈・比較する際には、匂い誘引剤が種ごとに異なるCT検出効果をもたらす点を研究者が明示的に考慮すべきである。匂い誘引剤やその他の誘引物質に対する種の反応の変動をさらに定量化し、カメラトラップ調査から得られる群集レベルの推論に対する誘引物質の影響を解明するため、追加研究が必要である。」

熊猟の情報サイトに興味深い情報があります。香害製品の強烈で長持ちする香料臭は、使った人が歩いた後を人間でも辿ることができるほどです。かすかなにおいを数キロ先から感知できる、犬よりも鋭い嗅覚を持つ熊は、山から街まで柔軟剤や合成洗剤のニオイを辿ってくることは容易なことでしょう。そして、その香料臭をつけた熊が山に戻ると、そのニオイを辿ってまた別の熊が現れることも考えられます。悲惨な人的被害を防ぎ、本来なら不要な熊の「駆除」をしないためにも、香料入り製品を買わないことが今必要ではないでしょうか。

北米の狩猟関連情報サイト『熊猟用の誘引剤』Bear Baiting 101https://www.fallobsession.com/articles/bear-baiting-101

「重要なのは、最初に餌場を見つけたクマを活用することです。それらのクマが香りを拡散し続けることで、他のクマも集まってくるようになります。私がこれを実現する方法は、油脂と食用油を使うことです。調理で出た油や油脂を1シーズン分貯めておけば、通常は十分な量が集まります。地域の飲食店に立ち寄り、廃油容器から油を譲ってもらう許可を得るのも簡単です。集めた油やグリースを餌の周囲の地面や餌桶に注ぎましょう。これにより熊の足裏に油が付き、去った後に他の熊が追跡できる匂いの道筋が形成されます。熊は油の中で転がり、全身を油まみれにする傾向もあります。」

「これとは別の方法であり、私のお気に入りの手法は、多くのオンライン企業や地元のスポーツ用品店で購入できる香りのスプレーです。クマは甘い香りを好み、その誘惑に抗えません。そのため、アニス、バニラ、バタースコッチ、フルーティーな香り、チョコレートなど、以下のいずれの香りも非常に効果的です。」