02-1_1_03 EU化粧品指令 EUにおける香料化学物質の規制

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(2021.10.9)

EU(European Union:欧州連合)は化粧品(人体に使用する多岐にわたる製品が含まれる;ジェトロ*の説明を参照)について日本や米国より厳しい法律があり、化粧品の供給及び販売に関して、成分規制、責任者、主なラベル情報、EU委員会への製品情報の提出について「化粧品に関する規則1223/2009(化粧品指令/化粧品規則)」を定めています。

・化粧品指令1223/2009の説明・旧指令Directive 76/768/ECとの違い
https://ec.europa.eu/growth/sectors/cosmetics/legislation_en

化粧品指令/化粧品に関する規則 1223/2009(Regulation (EC) N° 1223/2009)には化粧品に関する法律について260ページにわたる文書が掲載されています。: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A02009R1223-20210526 

別表2 (ANNEX II LIST OF SUBSTANCES PROHIBITED IN COSMETIC PRODUCTS) には1379種類の化粧品に配合禁止の化学物質のリストです。香料として使用することが禁止されている32種類の化学物質が含まれています。

別表3 (ANNEX III LIST OF SUBSTANCES WHICH COSMETIC PRODUCTS MUST NOT CONTAIN EXCEPT SUBJECT TO THE RESTRICTIONS LAID DOWN) は法律で定められた場合を除いて化粧品に配合禁止の297種類の化学物質のリストです。ここにアレルゲンとしてラベルに表示しなければならない26の香料物質が含まれています。

ラベル表示については化粧品指令1223/2009のArticle19(1)に定められており、ANNEX III 表中ではOtherの項にラベルに表示しなくてはならない条件が記載されています。
Fragrance allergens labellinghttps://ec.europa.eu/growth/sectors/cosmetics/products/fragrance-allergens-labelling_en

・2021年に欧州消費者安全性科学委員会(SCCS)は、この26の物質に加えて、消費者が情報を知らされるべきだとして、さらに多くの香料のアレルギー性について334ページにわたる意見書を発表しました。26のアレルゲン香料物質が実際の製品にどのくらい配合されているかの調査などの情報がP73-77に掲載されています。
『OPINION on Fragrance allergens in cosmetic products』
https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_102.pdf


化粧品指令/化粧品に関する規則 1223/2009『別表II 化粧品への配合が禁止の物質』から「fragrance」で検索された化学物質32種類を、また『別表III 法律によって制限される場合を除いて化粧品に配合することを禁止する物質』297種類の化学物質のリストからアレルゲンとしてラベルに表示しなければならない26の香料物質を抜粋。26の物質には含まれないが”fragrance”で検索された化学物質5種類も付記しました。(2021.5.26バージョン)

PDFフォーマット:02_1_3_EU化粧品指令_香料リストPDF(プリント用)

Word フォーマット:02_1_3_EU化粧品指令_香料リストdocx(ファイル中で検索が可能)


このようなEUの香料成分規制の動きに対して、日本の化学物質の規制は大幅に遅れています。医薬品医療機器等法第61条によって、化粧品は全成分をパッケージに記載する義務がありますが、香料は「香料を着香剤として使用する場合の成分名は『香料』として記載して差し支えない。」という例外的扱いになっています。アレルゲンとして注意すべき香料のラベル表示を義務付ける法律もありません。

厚生労働省 化粧品基準(薬事法第42条第2項の規程に基づく 平成12年):https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/keshouhin-standard.pdf

東京都健康安全センター 医薬品医療機器等法における化粧品の表示
http://www.tokyo-eiken.go.jp/k_yakuji/i-kanshi/cosme/c_label/

様々な行政機関の法令や規則、規制、基準といった様々なルールがあって全体としてわかりにくい化粧品のルールを解説しています。週刊粧業 『化粧品の規制について~入門編:成分について①~』(2019.4.24):
https://www.syogyo.jp/news/2019/04/post_024078


JETRO(ジェトロ)** のウエブサイト『化粧品の現地輸入規則および留意点:EU向け輸出』より引用(調査時点:2015年2月 最終更新:2019年1月 記事番号: A-030301)
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-030301.html

*「化粧品規則1223/2009はEUにおける化粧品の供給および販売に関する規則を定めたものです。この規則は欧州諸国の化粧品規則の統一を目的に制定された規則で、対象となる化粧品については、人体(皮膚、髪、爪、唇、外部生殖器、歯および口腔粘膜を含む)に塗布することを意図した物質または混合物であり、清浄、芳香、外観の変化、保護、良好な状態に保つ、または体臭を抑えることを目的とした製品と定義しています。」

「EUで販売する場合に許可される化粧品の成分規制 化粧品規則では、化粧品の含有物に関する一定の制限を設けています。一部の物質は使用が禁止されており、いかなる場合においてもEUで供給する化粧品に使用することはできません(化粧品への配合が禁止されている成分は化粧品規則の付属文書IIに掲載されています)。他の物質についてはその関連する規則に準拠する場合にのみ使用できます(配合が制限されている物質は付属書III、 配合が可能な色素・防腐剤・紫外線吸収剤はそれぞれ付属書IV、V、およびVIに掲載されています)。また、特定のCMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)物質は2010年12月より使用禁止ですが、消費者安全科学委員会(Scientific Committee for Consumer Safety: SCCS)が安全と評価した物質や代替物質がない場合には一部許容されることになりました。該当する場合は CLP規則(EC No. 1272/2008)の法令原文で基準の詳細を確認してください。
また、ナノ物質を含む化粧品は欧州委員会に通知する必要があります。」

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