(2021.10.9)
アメリカ食品医薬品局(FDA*)、食品の香料(フレーバー)認可を取り消し
食品に使われる香料は「フレーバー」食品以外の日用品、化粧品に使われる香料は「フレグランス」と呼ばれます。米国弁護士団体のEarthJustice**は、パン・菓子類からアルコール飲料、アイスクリームなど、60年代からずっと数多くの加工食品に使われてきた7つのフレーバー(人工香料)を、発がん性があるとして認可を取り消すよう、Environmental Defense Fund、Center for Environmental Health、Breast Cancer Prevention Partners、Center for Science in the Public Interestを代表して2018年5月にFDAを起訴しました。
(訴状:https://earthjustice.org/sites/default/files/files/2018-05-02_Flavors_Mandamus.pdf)
FDAは2018年10月にそのうち6つの香料の認可を取り消し、また業界は残りの1つの香料の使用を中止することに同意しました。
『The FDA Dumps Its Recipe for Disaster 』EarthJustice Jessica A. Knoblauch (2018.12.11): https://earthjustice.org/blog/2018-may/a-recipe-for-disaster
認可が取り消された6つの香料、業界が使用を中止した香料:Benzophenone, Ethyl acrylate, Eugenyl methyl ether, Myrcene, Pulegone, Pyridine
下記の記事によれば、これらの香料は「合成香料」としてのみラベルに表示されており、化学物質名は不掲載。主にミント味、シナモン味、レモン味に使用されています。FDAは業界が使用を中止したstyreneの許可も取り消しました。
『FDA Bans Seven Artificial Food Flavorings』WebMD Health News by Kathleen Doheny (2018.10.5): https://www.webmd.com/diet/news/20181005/fda-bans-seven-artificial-food-flavorings
*FDA (Food and Drug Administration アメリカ食品医薬品局) 日本でいう厚生労働省に似た役割を持つ。食品、医薬品、医療機器、化粧品などの販売・流通において、許可や違反品の取り締まりをする公的機関。
**EarthJustice* 環境のための弁護士団体。全米に14のオフィスを持ち、国際的にパートナーを持つ160人の弁護士を擁するNPO(Non Profit Organization 非営利団体)。1970年から公共の利益のため、環境法に関する法的な仕事を無料で引き受けている。
日本の食品香料のラベル表示
日本では、現在食品添加物の不使用表示を巡って消費者庁で検討会が開かれており、香料を含む食品添加物の「不使用」「無添加」表示についてのラベルへの表示のルールをどうするか議論が続いています。2021年5月31日、消費者庁は消費者団体や業界団体などの関係者8人からヒアリングを行い、同検討会は引き続き、2カ月に1回のペースで開催する予定。検討結果を踏まえ、消費者庁は来年3月に表示ガイドラインを策定する予定です。
日本香料工業会の大木嘉子氏は、「香料不使用」「香料無添加」の表示について、「香料が悪者扱いされて、香料を使わないことが優れているという印象を与える」と批判。香料に対する風評被害にもつながるとし、これらの表示の禁止を要望したということです。
NET IB News『「無添加」表示めぐり賛否~消費者庁の検討会』 (2021.6.1):https://www.data-max.co.jp/article/41943
食品添加物についての日本の法制度
・東京都福祉保健局『一般用加工食品(添加物)』食品衛生の窓(東京都の食品安全情報サイト)より引用
「食品に添加物を使用した場合や使用する原材料に添加物が含まれている場合は、原則として、全ての添加物の物質名を表示します。添加物については、下記のとおり分類されています。」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_additives.html
食品に添加される香料とは:「香料には、化学的に合成された合成香料と、天然物から採った天然香料があります。これらの香料素材を調合したものが香料ベースです。」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/kouryo.html
・e-GOV 法令検索で検索すると、食品衛生法施行規則別表第1(第十二条関係)には食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が食品に使用してよいと定めた指定添加物名が468種類掲載されています。合成香料に使われる化学物質も掲載されていますが、中にはシトロネラール、ゲラニオール、リナロール、シンナムアルデヒド、イソオイゲノールなどEU化粧品指令でアレルゲン指定され、ラベルへの表示を義務付けられた化学物質も入っています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323M40000100023#1108
・厚生労働省 食品添加物のリスト、施策、法令、審議会などの情報:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
・公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 指定添加物リスト(令和3年1月15日改正まで記載、登録品目数:472品目 英語名も併記):https://www.ffcr.or.jp/tenka/list/post-11.html
・公益財団法人 日本食品化学研究振興財団ウエブサイト より指定添加物の定義 「この指定の対象には、化学的合成品だけでなく、天然物も含まれます。なお、香料について「エステル類」等の一括名で指定した18類の分類に該当すると判断されたものは厚生労働省の通知で示されています。」:https://www.ffcr.or.jp/tenka/list/post-139.html
コーデックス(CODEX)とは
現在のところ唯一の食品の国際規格。食品規格委員会(CAC, Codex Alimentarius Commission http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/en/) コーデックスのウエブサイト には食品規格の実施機関についての説明が掲載されています。
コーデックスに関する情報 公益社団法人日本食品衛生協会:http://www.n-shokuei.jp/eisei/codex_sec01.html
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