
香害図書館は香害に興味を持った方、香害に困っている方、香害をなくしたいと願う方が必要な情報に迅速かつ手軽にアクセスすることを目的として設立された非営利のボランティアサイトです。
香害ってなんでしょう。柔軟剤が臭くて困っている人がいる、気の毒だけど自分には関係ないと思っている方も多いと思います。しかし香害に関係ない人はいません。なぜなら香害は体質や好みの問題ではなく、また香料だけの問題でもないからです。香害は日用品に含まれる様々な有毒化学物質による複合汚染であり、全国規模で環境全体を汚染し、日々被害が拡大している公害なのです。
吐き気がする、頭痛やめまい、頭がぼうっとする、しつこい咳、目や喉がヒリヒリする、喉や顎がむくむ、皮膚や耳が痒い、耳鳴り、湿疹やじんましん、肩こりや体の痛み、香料や日用品のにおいが気になって仕事や勉強に集中できない、イライラする、急な眠気に襲われる、不眠、息切れや息苦しさ、動悸、胸が締め付けられる感じ、食欲不振、げっぷが出る、下痢などの胃腸障害、そのほか多種多様な原因不明の体調不良、それはあなたやあなたの周りの人、または他人が使用する日用品の成分のせいかもしれません。
それが香害です。過去の公害と全く同じなのは、企業が合法的に製造販売している製品によって様々な健康被害や環境汚染が起こっていることです。違う点は加害者が企業だけではなく、製品の消費者であること、また汚染や被害が過去の公害のように工場の周りのみ、というように限定的でなく、製造過程、流通過程、店舗、各家庭や個人という無数の汚染源によって日本中の大気や水、土壌が広範囲、汚染物質の回収が不可能な状態で日々汚染されつつあるという被害規模の大きさ、また使用者が自覚なく加害者となり、自分自身や他人の健康を損なう汚染源になってしまっていることです。
香害によって化学物質過敏症を発症すれば、次第に身の回りのごくありふれた、ありとあらゆる化学物質に反応するようになり、日常生活を行うことが著しく困難になります。香害で学校に行かれない子供が増えています。職場の香害で退職せざるを得なくなる、近隣の使う日用品のために引っ越しを繰り返したり、家族の住む自宅を離れて避難場所を借りる、柔軟剤などの臭いがついてしまった家財、衣類、仕事道具などを買い換なければならなくなるなど健康上、精神衛生上の問題だけでなく、経済的に困窮することになります。
香害は人間関係を壊し、社会との繋がりも断ち切ります。就学機会や職を失うだけでなく、友人や恋人と会うことを難しくしたり、将来の伴侶と出会う機会も損ないます。若い世代が化学物質を発症すれば、就学、就職、結婚、出産、すべてにおいて非常に深刻な問題が起こり、人生を変えてしまいます。日常的に強い香料を使って嗅覚疲労を起こしている人、遺伝的に嗅覚がない、または弱い人、加齢で嗅覚が衰えている人は特に香害を理解することが難しく、被害を訴えても相手にされない、いじめに会う、それでさらなる精神的な損害を被る、コミュニティの中で孤立するなど、香害の社会的な問題も広がっています。
学校や職場だけでなく、医療機関の香害も深刻です。化学物質過敏症を発症すると、医療を受けることが難しくなります。医療関係者は10年くらい前までは香水をつけないことが常識でしたが、どうしたわけかこの頃は医師や看護師までもが柔軟剤の臭いを漂わせています。柔軟剤などを使用する患者が訪れることによって、医療機関全体が香料の臭いに包まれ、化学物質過敏症になれば具合が悪くても、歯が痛くても医療を受けることができません。重症化すれば、薬を飲むこと、消毒薬、麻酔薬の使用もできなくなります。手術が必要な病気になっても医療を受けられないという事態もあるでしょう。
化学物質過敏症になれば、地震や洪水などの災害が起こった場合でも、香害のために避難所に入ることができません。警察官や救急救命士も柔軟剤のにおいをさせている人が多く、非常事態になっても救助を要請することも難しく、救急車にも乗れないかもしれません。NHKで消防士が規定量の4倍の柔軟剤に服をつけ込んでいる様子が報道され、非難を浴びたことは記憶に新しいですが、消防士は火災現場で多くの化学物質に暴露しますので、化学物質過敏症を発症するリスクは非常に高いです。
香害という公害は基本的人権を損なう深刻な人権侵害です。近畿大学の東 賢一准教授、京都大学名誉教授 内山巌雄博士らが2012年に行った調査では、日本で化学物質に過敏症状を持つ⼈は最新の研究に基づくと人口の7.5%、約700万人との推計がなされました。(“Prevalence and Characteristics of Chemical Intolerance: A Japanese Population-Based Study” : https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/19338244.2014.926855?journalCode=vaeh20 ) 議員や市民団体が度々政府に化学物質過敏症、香害の実態調査を求めてきましたが「因果関係がはっきりしないので様子を見る」というばかりです。しかし市場には強い香料を含む日用品が増え続け、香害を訴える人は日増しに増えています。現在では化学物質過敏症は自覚のない人を含め、かなり増えていることは間違いありません。化学物質過敏症は花粉症のように国民病になりつつあると言えるでしょう。
マイクロカプセル香料で汚染されたものは何年にもわたって化学物質を放出するのでリサイクルやリユースすることもできず、持続可能な社会を作る大きな障害ともなっています。すれ違っただけで他人の服に飛び散って付着して香り続けるマイクロカプセルが一度付着してしまったものを無香にすることは大変困難です。香料を落とすのにはどうしたら良いか、とメーカーに問い合わせたら「落とす方法はありません」と回答されたという話もあります。
拡大する被害を一刻も早く止め、人の生活や環境を破壊する香害をなくさなければいけません。その第一歩は正しい情報を手に入れること、次にその情報を広くシェアすることが大切です。香害撲滅のために香害図書館をお役立ていただければ幸いです。どうぞあなたご自身、あなたの大事な人、未来ある子供たちの健康を守るため、情報を広くシェアしてください。また、2021年には柔軟剤などの化学物質による被害と症状をもつ人たちが、発症のきっかけや症状を共有し、声を上げ、活動を広げるためのネットワークを作ろうと「カナリア・ネットワーク全国=CAN https://canary-network.org/ 」を立ち上げました。ぜひCANのウエブサイトをご覧ください。
香害があなたの健康にとっていかに深刻な脅威であるか理解したあなたは、恐らく手元の合成洗剤や柔軟剤を廃棄したいと考えるでしょう。廃棄の際に、とても重要なことがあります。不要になった合成洗剤や柔軟剤は絶対に下水に流さないでください。
化学物質や香料・抗菌マイクロカプセルその他香害を起こす製品に含まれる物質は、その8割は下水処理場をすり抜けて環境中に放出されています。化学物質の多くは下水処理場で取り除くことができません。人間のし尿に含まれる抗うつ剤によって魚の異常行動が起こっていることが報告されています。洗濯物を「輝く白さ」に染める蛍光剤が深海魚から検出されています。香料・抗菌マイクロカプセルは破裂して香料などの中身を放出しながらどんどん細かくなり、下水処理場を素通りします。ミクロンサイズのマイクロカプセルは分解しながらナノサイズの超微粒子のマイクロプラスチックになります。人体が取り込んだナノ物質は脳のバリアも通過して脳内に侵入することもわかっています。日本は下水を処理した水を上水に使用している地域もあります。水道水から香料臭がするという訴えが日本全国で起こってきています。
日本の下水の普及率は日本下水道協会によれば8割。 2割の下水は完全に未処理でそのまま自然界に放出されます。自然の豊かな地域で、川や用水路から香料臭がしています。その水はそのまま農作物に移行します。柔軟剤や合成洗剤に含まれる化学物質の多くは強い水棲生物への毒性もあります。また海や川だけでなく、魚貝類から香料臭がするという事態が起こっています。柔軟剤、合成洗剤は環境にとっても大きな脅威です。不要になった洗剤、柔軟剤などの日用品は、廃棄方法を地元の自治体に問い合わせて安全に廃棄するか、またはメーカーに送付して安全に処理してもらいましょう。
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