03-2_1_01_香害啓発をしよう

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(2022.6.9)

・我慢しないで声を上げよう—香害は好みの問題ではなく、公害です
近隣や学校、職場、施設、交通機関、そのほかの場所で他人が使う柔軟剤や合成洗剤から揮発した香料や抗菌剤などによる受動喫煙のような受動化学物質吸引、またその化学物質が移香、移染した自宅、自分自身や家族の体や持ち物から発生する三次的な吸引による受動化学物質吸引で気持ちが悪くなる、頭痛がする、頭がぼうっとする、などの健康被害、まだ健康被害には至らないがそれらの臭気が不快で困っている、などの被害が増えるにつれ、香料の使用を自粛してほしい、無香料ポリシーを採用してほしい、柔軟剤の使用をやめてもらいたい、など香害啓発をしたいと思う方が日ごとに増えています。そんな場合に便利な情報を孫カテゴリーの「03-2_1 手紙/チラシ/資料/SNSで香害啓発」に集めました。

香害被害者が増えるにつれ、日本消費者連盟などの市民団体だけでなく、被害者が自ら声をあげたり、SNSやネットで香害図書館のように情報提供をしたりすることが増えました。2021年には柔軟剤などの化学物質による被害と症状をもつ人たちが、発症のきっかけや症状を共有し、声を上げ、活動を広げるためのネットワークを作ろうと「カナリア・ネットワーク全国 (CAN) https://canary-network.org/ 」を立ち上げ、マスメディアにも香害が取り上げられるようになってきました。

また、具合は悪くならなくても、柔軟剤や合成洗剤の臭いが以前より強いようで気になる、ドラッグストアや病院、薬局、その他医療関係機関、交通機関や公共施設が香料臭くて気になる、スーパーで買ってきた卵などの食品、商品、お札や段ボール、トイレットペーパーやキッチンペーパー、ナプキン、書類、書店や図書館の本などの紙製品、販売されている衣類に香料や刺激臭がついていて気持ち悪くて買えない、使えない、ペットショップでのペットシーツなどや、動物病院でペットの体に香料が移香して困っているという方も増えてきました。

香害被害は安全な空気が吸えなくなるという大変な公害です。どこでも売られている日用品のために人の人生がめちゃくちゃにされ、社会が分断され、知らないうちに全員の健康が脅威にさらされ、環境が修復不可能な形で汚染されています。子供たちが毎日過ごす教育や託児の現場の空気が化学物質で汚染されている。病気を治すはずの病院の空気が人を病気にする有害物質で汚染されている。こんなことは早く終わらせなくてはなりません。個人レベルでは、香害被害を我慢しているうちに、化学物質過敏症(CS)を発症するリスクがあります。CSはいつ誰にでも発症する可能性があります。一度発症してしまったら、本当に大変な人生が待っています。運良く寛解できることもあれば、症状が悪化していくこともあります。我慢せず、まずは自分の健康、そして周りの人の健康、社会全体、大事な人たちの未来を守るために、声をあげましょう。

・柔軟剤・合成洗剤・香り付け芳香ビーズなど香害製品のヘビーユーザーに香害啓発をするにあたって大事なこと

香害で苦しみ、勇気を振り絞って隣人や同僚、または家族に柔軟剤をやめてほしいとお願いしても、やめてもらえないばかりか「神経質な人」「クレーマー」「特殊な体質の変わった人」扱いされて全く相手にしてもらえないという事がしばしば起こってます。被害者にしてみれば、「なんでこの物凄いニオイがわからないの?」「なんでこんなに困っているのに柔軟剤くらいやめられないの?」と途方に暮れるしかありません。なぜそんなことが起こるのでしょうか。

香害は過去の公害と同じように企業が合法的に製造販売している製品によって起こっていますが、大きな違いは使用者が自覚なく加害者となり、自分自身や他人の健康を損なう汚染源になってしまっていることです。香害の原因、間接的な加害者は香害を起こす製品を製造販売するメーカー、被害が起こっていることを知りながら放置する政府ですが、直接の加害者である製品のユーザーは被害者でもあるのです。柔軟剤のユーザーが、ある日突然今まで良い香りだと思っていた柔軟剤のニオイがおかしいことに気づき、突然化学物質過敏症を発症して大変な困難に直面するという事態が起こってきています。香害という公害の直接の加害者は、被害者でもあるのです。この点をまず第一に考えて香害啓発をすることがとても大事です。

もうひとつ、この問題を考えるときにとても重要なことは、嗅覚には視覚や聴覚以上の個人差があるにも関わらず、健康診断や各種資格の取得の際に嗅覚の検査が行われないため、自分に嗅覚がない、また弱いことを知らない人が柔軟剤を多用していることが考えられることです。嗅覚は遺伝子型、年齢、性別、病気によって非常に大きな個人差がありますが、嗅覚の研究は他の感覚に比べて大変遅れており、全容はまだよくわかっていません。生まれつき嗅覚がない人がいること [What Is Anosmia?: https://www.healthline.com/health/anosmia]、また遺伝子型によってにおいの感じ方が異なる事がわかっています。 [ 嗅覚と化学:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/65/10/65_524/_pdf ] 。嗅覚は視覚や聴覚と同じように加齢で衰えます。一般に、男性は女性よりも嗅覚が弱く、また誰でも70代になると20代の半分ほどしかにおいがわからなくなるそうです。コロナなどの病気によって嗅覚を失ったり、弱くなることもあります。そして同じにおいを嗅いでいると嗅覚疲労 (ウィキペディア『嗅覚』) という現象が起こり、そのにおいがわからなくなります。最近の柔軟剤には消臭をうたうものが出てきて「“ニオイキャンセリング成分”が衣類についた体臭や汗臭に先回りして、臭いと感じる前にそれらをブロックします。https://soflan.lion.co.jp/soflan/lineup/ultrazero/ 」などとうたうものもあり、嗅覚を麻痺させる物質が入っていることも考えられます。

そのようなわけで、柔軟剤を大量に使う人たちは、生まれつき嗅覚がなかったり、弱かったり、または後天的な原因で嗅覚が弱っていて、どんな猛臭を放っていても、自分はエチケットのために柔軟剤を使用しているのであって、メーカーの宣伝のように「ふんわりやさしい香り」をまとっている、「体臭が消臭されて無臭になりほのかな香りを漂わせている」と信じている可能性が高いです。しかし、たとえ嗅覚が弱く、強い香料や抗菌剤を使っている自覚が本人になくても、知らないうちに大量に毎日香料を吸い込んでいるのですから、香料に依存してやめられなくなっていることも考えられます。香料入りと書いてなくても、多くの日用品には原料臭や薬品臭をごまかすためにマスキング香料が入っています。香料にはトルエンなどが依存性がある物質が入っていたり、向精神薬と共通の成分が入っていることがあります。また、CMの恐怖マーケティングによって「自分の体臭は臭いのではないか」と、自己臭症のような状態になっていたら、タバコのように心理的な依存もあるでしょう。

被害者は香害で深刻な健康被害を受け、死にそうになりながら柔軟剤の使用をやめるよう、加害者に訴えます。しかし、嗅覚が正常に働いていない加害者は何が問題なのか全くわからないことは多いと思われます。そういうわけで、「何でやめてくれないのか」では「何でやめなくてはいけないのか」の水掛論になって、平行線になってしまうのです。すでに香料の依存症になっている場合は、アルコールやニコチンの依存症になっている人にそれらを止めるよう伝えた家族が経験するのと同じように、たとえ丁寧にお願いをしても、「柔軟剤をやめるなんてありえない。普通に売っているものを使って何が悪いのか」などと全く予想できない反応が返ってくることすらあります。

「香害を起こす製品は、誰にとっても非常に体に悪いものなので、柔軟剤をやめないとあなたも私が経験しているようなひどい目に合うかもしれない」と、相手の立場に立って、相手が自分の健康のためにやめるよう持っていく事が重要です。そのためには、正しい情報を手に入れて、柔軟剤・合成洗剤をやめる使用者本人にとってのメリットを理路整然と説明する事が非常に重要です。たいていの場合、1ヶ月ほど柔軟剤をやめると嗅覚が回復し、「こんな酷い臭いのものを使っていたのか」と驚く人が多いようです。数ヶ月のあいだ柔軟剤・合成洗剤をやめてもらうことができたら、使用者自ら香害製品の異常さを体感し、香害問題を理解してもらえるかもしれません。

香害啓発に便利なチラシへのリンク集、香害被害についての説明のためのダウンロード可能なチラシはこちらにあります。 03-2_1_02_香害啓発チラシ集