(2023.3.28更新)
全国の自治体の香害関係の意見書、地方議会での質疑、審議、対応策などに関する情報へのリンク集です。国の香害対応が進まないなか、身近な地域での香害対策を求めての活動が盛んに行われ始めています。地方議員は住民の代表です。香害被害の実態を伝え、地方行政に対応を求めてほしいと議員に声を届ければ、議員が代弁して行政に伝えてくれます。
そういった一般的な陳情とは別に、市民が議会に対して行う「陳情・請願」という公の制度があります。そうした「陳情・請願」を受けて、地方議会で「意見書」を採択、国に提出して国による香害の対応を求めている地方議会もあります。住民が議会に対して請願・陳情を行える制度については、『請願・陳情ガイド | 東京都議会 (metro.tokyo.jp) 』などが参考になります。
一方、地方議会で香害対応を求める質問を行っている地方議員は相当数存在します。その成果は、自治体行政側が香料製品の使用への配慮を求める記事をHPや広報誌に掲載したり、啓発ポスター・リーフレット・お知らせ文書を作成し、関係各所に配付したりといった対応に現れています。
ここに掲載されている議会質問は全体のごく一部です。香害被害者の働きかけにより、多くの議員さんたちが香害問題に取り組んでくださるようになりましたので、状況は日々変化しています。ぜひ地元の自治体のウエブサイトで香害啓蒙活動、会議録を検索してみてください。
・各地方自治体の会議録を 『〇〇県 県議会 会議録 香害』などのようなキーワードで検索すると、地方議会での質問、その回答が出てきます。
・chiholog – 地方議会議事録横断検索に記事録内容を入れて検索することができます。「化学物質過敏症・香害」で検索した結果がこのページです。
香害被害者一人でも行政への働きかけは出来ますが、背後に何百票、何千票を投じた住民がついている住民の代表、議員による行政への働きかけは重みが違います。議員に香害の相談を持ち掛けることは、地方自治体レベルでの香害対応を進める上で大変効果的です。
2021年までの質疑、議会の動きについては01-2_2_01 地方議会・地方議員の動き (~2021)をご参照ください。
寺本早苗宝塚市議会議員は、2021年に香害・化学物質過敏症への理解啓発を進める質問をされ、宝塚市はその後の取り組みとして消費者庁など5省庁連名の啓発ポスターを公共施設に掲示、市ホームページや広報たからづかで香害と化学物質過敏症について周知しています。
2022年12月の質問では、山崎宝塚市長から「柔軟剤等に含まれる化学物質の影響の少ないフレグランスフリーな空間は、香害で苦しむ人がいない、すべての人が快適に過ごせる空間であり、人権が尊重されるまちづくりにつながる」と、公的場所のフレグランス・フリー化の答弁を引き出し、市庁舎や図書館以外に市内の映画館やホール、温泉施設などでもポスターなどで周知啓発に取り組むことを確認しました。
寺本市議のブログ『環境過敏症について☆衝撃の答弁 ~寺本さなえの一般質問その2~』2022年12月14日
宝塚市議会 令和4年第4回定例会 12月14日 『一般質問 2 環境過敏症について (03:00〜)』
(1) 「香害」を含む化学物質過敏症に関する啓発の取組状況について
(2) 学校園等を含む公共施設をフレグランスフリーゾーンに
(3) 児童生徒を対象にした環境過敏症の実態調査について
議員発言一覧(質疑動画あり):
長野県上田市議の林議員が、香害、化学物質過敏症について非常に充実した内容の質疑を行いました。
上田市議会 令和4年6月定例会 6月15日 本会議 一般質問(個別質問)「(2) 化学物質過敏症の方々への配慮について」12:23〜25:52(動画最後まで)
新生会 林 和明 議員 :https://ueda-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=164
林 和明 議員の質疑、室賀 久佳 健康こども未来部長の答弁の概要:
林議員:平成27年に環境省、東海大学が取りまとめた報告書では、人口の7%が所謂化学物質過敏症の対象者であるとされ、これを上田市に人口に換算すると、1万1千人にも上る。発症に至る過程は花粉症やアレルギーに似ているが、まだ化学物質過敏症が広く認知されていないことから、誤った治療を受けていたり、潜在的な患者の存在も多いのではないか。自身の体調不良の理由がわからず苦しんでいる人がいて、その声が市に届いていないという可能性もあるのではないか。より広く周知し、症状の有無にかかわらず理解を求める必要があることから、市としてホームページだけでなく紙媒体での化学物質過敏症の周知、香害や化学物質過敏症の実態調査を行う考えはあるか?
室賀 健康こども未来部長:「環境うえだ」令和4年2月16日号において、規制の対象にならないような音やにおいも、人によっては騒音や悪臭と感じてしまうこともある、感じ方は人それぞれなので、周囲への思いやりや配慮を求める記事を掲載した。今後も国や県の動向を注視しつつ、必要に応じて関係部局と連携し、紙媒体での周知も含め、検討していきたい。実態調査については、化学物質過敏症は疾病概念自体がまた未確定であり、診断基準も確定していないなど対策についても確立していないことから、化学物質過敏症と思われる人がどの程度いるのかという調査を行うことは現時点では予定していない。今後国の機関などで知見が深まってきたら、県や保健所などの関係機関にも相談するとともに、関係部局と連携し、市民全体の認知度や、日常生活における配慮状況なども含め、実態の把握についても検討していきたい。
林議員:安曇野市は保護者や業者など来校する方に呼びかけるポスターを学校の玄関へ掲示したり、保護者向けのチラシを作成、配布を行なっている。また、安曇野市健康推進課は、ポスターを作成し、市内の公共施設で掲示をするようになった。上田市として、香害に関するチラシやポスターを作成し、公共機関への掲示を行なったり、講座などを通じ、香害、化学物質過敏症の知識を深める機会を作ることが重要と考えるが、見解はどうか。
室賀 健康こども未来部長:香りが苦手な人や、体調が悪くなる人がいることなどを広く市民に周知し、認識してもらって予防に繋げていく取り組みについてはその周知方法を含め、関係部局で連携をとりながら検討をしていきたいと考えている。講座に関しても、市における個別の相談の状況であるとか、国の機関での知見の深まりなどを踏まえて、県や保健所の関係機関と相談するとともに、庁内関係部局で連携して検討していきたい。
質疑、答弁の詳細:上田市議会 令和4年6月定例会
上田市議会 令和4年6月定例会 6月15日 本会議 一般質問(個別質問)「(2) 化学物質過敏症の方々への配慮について」12:23〜25:52(動画最後まで)
新生会 林 和明 議員:https://ueda-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=164
林 和明 議員:化学物質過敏症の患者は全国で100万人を超え、100人に一人は化学物質過敏症ではないかと言われている。平成27年に環境省、東海大学が取りまとめた報告書では、人口の7%が所謂化学物質過敏症の対象者であるとされ、これを上田市に人口に換算すると、1万1千人にも上る。発症に至る過程は花粉症やアレルギーに似ているが、まだ化学物質過敏症が広く認知されていないことから、誤った治療を受けていたり、潜在的な患者の存在も多いのではないか。自身の体調不良の理由がわからず苦しんでいる人がいて、その声が市に届いていないという可能性もあるのではないか。より広く周知し、症状の有無にかかわらず理解を求める必要があることから、ここで質問する。
Q: 現在市では化学物質過敏症についてホームページで周知を行なっているが、広報誌や自治会の回覧、児童生徒へのプリントの配布など、紙媒体でも周知を行なってはどうか。
Q: 市内の化学物質過敏症、特に香害に悩む方へのアンケート調査の結果によると、85名中、気分が悪くなるとの回答が32名。ここでの香害の発生源は、一昔前であれば香水のこともあったが、現在では洗濯洗剤などに含まれるマイクロカプセル香料が衣服や周りのものに強い香料として残り、それが原因で体調不良を起こすきっかけになるようだ。市民の切実な声が調査結果として現れているが、市として香害や化学物質過敏症の実態調査を行う考えはあるか?
室賀 久佳 健康こども未来部長:化学物質過敏症は日常生活で使用しているものに含まれる化学物質により、頭痛やめまいなどさまざまな症状が現れる疾患とされている。厚労省長期慢性疾患総合事業アレルギー研究班によると、化学物質過敏症は身近な環境問題として、薬の投与や外科的手術で治癒するような病気ではなく市町村単位での環境改善など広い視野で環境問題を見据えなければならないとしており、症状的には「過敏」という名が示すように、通常の人であれば症状を出さないような、ごく少量の物質でもアレルギーに似た過敏症状をきたす、また低濃度の化学物質に繰り返し晒されることで体内に蓄積し、慢性的な症状をきたす中毒性疾患に近い性格を兼ね備えている、アレルギー性と中毒性を兼ね備えている疾患であるとされている。具体的な症状としては、頭痛、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの身体症状や、集中力や思考力の低下や、精神不安定などの様々な症状を、軽度から重篤な症状まで訴える方がいるということである。また化学物質過敏症は、症状が多様であること、また特定の化学物質がなくても症状が続くことがあるなど、疾病概念自体がまた未確定であり、診断基準も確定していないこともあり、症状があってもその疾患だと気付きにくいことが想定される。このようにデリケートで、発症の仕組みがいまだに明らかになっていないので、社会的な認知もなかなかされていない状況なので、化学物質過敏症の周知については議員の指摘の通り、令和4年2月に市のホームページで化学物質過敏症の概要、症状、原因となる物質、また化学物質過敏症で困っている方への配慮のお願いをし、専門の相談窓口、厚労省、環境省の関連ページへの誘導なども行い、市として化学物質過敏症の周知を図ってきた。また、長野県消費者生活センターのホームページでも、1月に化学物質過敏症に関する周知のページが公開されている。
紙媒体については、自治体回覧として、生活環境部で年三回発行している「環境うえだ」令和4年2月16日号において、規制の対象にならないような音やにおいも、人によっては騒音や悪臭と感じてしまうこともある、感じ方は人それぞれなので、周囲への思いやりや配慮を求める記事を掲載した。ここでも一部ではあるが、化学物質過敏症の方への配慮について触れている。今後も国や県の動向を注視しつつ、必要に応じて関係部局と連携し、紙媒体での周知も含め、検討していきたい。
実態調査については、化学物質過敏症は疾病概念自体がまた未確定であり、診断基準も確定していないなど対策についても確立していないことから、化学物質過敏症と思われる人がどの程度いるのかという調査を行うことは現時点では予定していない。今後国の機関などで知見が深まってきたら、県や保健所などの関係機関にも相談するとともに、関係部局と連携し、市民全体の認知度や、日常生活における配慮状況なども含め、実態の把握についても検討していきたい。
林 和明 議員:まだまだ症状や悩みをを抱えた患者が表面化していない状況。引き続き、症状に対する理解を周りに広めていく必要があると感じる。他自治体の例を挙げると、安曇野市が保護者や業者など来校する方に呼びかけるポスターを学校の玄関へ掲示したり、保護者向けのチラシを作成、配布を行なっている。また、安曇野市健康推進課は、ポスターを作成し、市内の公共施設で掲示をするようになった。こういった他自治体の事例から、目に見えない、現在多くの方に理解がされにくい化学物質過敏症、香害による悩みを抱えている方への配慮をより広く周知する必要があると考える。
Q: 香害に関するチラシやポスターを作成し、公共機関への掲示を行なっている他自治体の事例があるが、上田市で取り組む考えはあるか。他に考えられる周知の方法として、現在上田市で行なっている「出前ときめきの街講座」の中に、健康に関する項目として、こういった講座を設ける方法も考えられる。現在多くの自治体で、この化学物質過敏症への対応を強化している。現在は周知啓発を進める段階ということだが、例えば一般社団法人日本環境保健機構では、化学物質過敏症サポーターという資格で、化学物質過敏症への正しい知識の普及、理解を促す、悩んでいる人をサポートできる人材を育成する流れもある。上田市として、こういった講座などを通じ、香害、化学物質過敏症の知識を深める機会を作ることが重要と考えるが、見解はどうか。
室賀 久佳 健康こども未来部長:まず、香害の注意喚起のポスター作成に関しては、他自治体のHPを調べると、その多くは都道府県や政令都市、また保健所を設置している中核市での事例が始まっていると認識している。現状、市独自で現状とからめたチラシやポスターを作成することは難しい面もあるが、自分にとって快適な香りでも、その香りが苦手な人や、体調が悪くなる人がいることなどを広く市民に周知し、認識してもらって予防に繋げていく取り組みについてはその周知方法を含め、関係部局で連携をとりながら検討をしていきたいと考えている。また市への相談に関しては、香害については直接来ている状況ではないが、相談があれば内容に応じて担当部局で個別に対応していきたいと考えている。またその際には、国が関係5省庁で作成しているリーフレットなどがあるがそういった物も積極的に活用し、相談者に寄り添った対応をしていきたい。講座に関しても、市における個別の相談の状況であるとか、国の機関での知見の深まりなどを踏まえて、県や保健所の関係機関と相談するとともに、庁内関係部局で連携して検討していきたい。
2022.3.29 町田市議会 令和4年3月定例会(第1回)令和4年3月29日 一般質問 笹倉みどり (まちだ市民クラブ)『香害について 相談の状況・取り組みは』:https://www.gikai-machida.jp/g07_ShitsumonView.asp?SrchID=2380&kword1=&kword2= (このページに会議録へつながるリンクあり)
笹倉市議の質問より引用「たばこの健康への影響は周知されていますが、人工香料の害も受動喫煙と同じです。
香りの好き嫌いではなく、毒性の強い化学合成物質が使われている場合のあること、感受性の高い子どもにはより多くの影響を与える可能性が高いということです。人工香料の生産量は、資料の11にも入れましたが、2009年と2018年を比較すると約1万トンから約1.8万トンになっています。生まれたときから香料に囲まれている子どもたちへの影響がひどくなるのはこれから。既に発症している子どもさんもいらっしゃいます。」
この質問に対し、学校教育部長(石坂泰弘)は個別の配慮が必要だと思っており、学校で配慮する内容については、全教職員で共有して対応しているが、実際に香りの配慮が必要な児童生徒がいるとう事例はないとの返答をしている。
笹倉市議の質問より引用「個別に対応していくということでありましたが、香りの問題を個別に対応しても、やはり自分だけのことではなく周りの空気の問題なので、全体で捉えていっていただかなければ根本は解決しないと思っております。」
2022.2.24 兵庫県議会 本会議 第357回2月定例会2月24日 一般質問 北上あきひと県議(社民)『化学物質過敏症への取組について』:https://smart.discussvision.net/smart/tenant/pref_hyogo/WebView/rd/schedule.html?year=2022&council_id=67&schedule_id=4
藪本健康副支部長より、健康被害を防ぐためには県民ひとりひとりが化学物質の暴露により健康に影響があるという可能性を念頭に置いて行動する事がまず必要であると考えているので、化学物質過敏症への県民の理解を深めるよう、県、市による周知、啓発に取り組み、県民からの相談に対して、農薬、建築材料、柔軟剤なdの原因物質によってそれぞれの関係機関が相談に応じるなどの取り組みを進めたい、との答弁を引き出した。
北上あきひと 兵庫県議会HP:https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/giinshokai/shokai/50on/ka/kitaue.html
2022.2.28 埼玉県議会 令和4年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(高木真理議員 民主フォーラム)『「空気の安全」への配慮について~公的機関の職員に求められるもの~
』:https://www.pref.saitama.lg.jp/e1601/gikai-gaiyou/r0402/g060.html
質問より抜粋:「私たちは、呼吸をして暮らしています。吸い込む空気は公共財です。息を吸わずに生きることはできません。この空気が汚染されては健康に悪いということで、大気汚染は、行政の監視対象になっています。ー中略ー ただ気分や香りの好みで言っているのではありません。空気が吸えないから公的サービスを受けられないという被害を県民にもたらさぬため、職員の心がけとして、フレグランスフリーの方針を打ち出していただけないか、総務部長に伺います。」
小野寺亘 総務部長答弁より抜粋:「新規採用職員を中心とした接遇研修に香りに関するエチケットについて取り入れていきたいと考えています。
また、ポスターやポータルサイトなど、日頃から目につきやすい媒体を活用した意識啓発を行うとともに、柔軟剤等の香料入り製品は使用量の目安を守ることなど、周囲の方への配慮を職員に呼びかけてまいります。」
香害図書館に掲載されていない香害啓発をしている自治体/リンクの更新、学校や保育園、病院や公共施設などの香害啓発/対策の情報、議員の質疑、答弁、それがどのように実施されているかの情報などがありましたら、ぜひお寄せください。https://kogailibrary.org/aboutus/