01-4_2_02 香害/化学物質過敏症/シックハウス症候群 研究報告/論文

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香害など、化学物質への曝露によって起こる化学物質過敏症の発症機序(なぜそのような症状が起こるのか、発症のメカニズム)についての学会発表、研究報告、論文集です。香害で化学物質過敏症を発症することについて、原因が心因性であるとの主張も一部に見られますが、化学物質過敏症の原因は化学物質であるという主張には科学的な根拠があります。なぜ日用品の香料などの成分によって化学物質過敏状態になるかについては 01-4_1 香害/化学物質過敏症/シックハウス症候群 基礎知識 の記事、「02香害の原因」の日用品に含まれる化学物質の有毒性に関する記事、以下の資料を読むと一通りの理解ができると思います。

(2022.7.30 更新)


神経治療 Vol.37 No. 2 2020, p. 166-179『種々の症状を呈する難治性疾患における中枢神経感作の役割の解明とそれによる患者ケアの向上 (中枢神経感作の役割の解明とそれによる患者ケア)』(2019.12.26受付2020.2.19受理): http:doi.org/10.15082/jsnt.37.2_166

平田 幸一 *1、鈴木 圭輔 *1、春山 康夫 *2、小橋 元 *2、佐伯 吉規 *3、細井 昌子 *4、福土 審 *5、柳原 万理子 *6、井上 雄一 *6、西原 真理 *7、西須 大徳 *7、森岡 周 *8、西上 智彦 *9、團野 大介 *10、竹島 多賀夫 *10、端詰 勝敬 *11、橋本 和明*11
*1 獨協医科大学医学部内科学 (神経) *2 獨協医科大学医学部公衆衛生学講座 *3 がん研究会有明病院緩和治療科 *4 九州大学病院心療内科・九州大学病院集学的痛みセンター *5 東北大学大学院医学系研究科行動医学 *6 東京医科大学睡眠学講座 公益財団法人神経研究所睡眠研究室 *7 愛知医科大学医学部学際的痛みセンター *8 畿央大学健康科学部 *9 公立大学法人県立広島大学保健福祉学部 *10 富永病院脳神経内科・頭痛センター *11 東邦大学医学部新進医学講座

抄録
難治性の疾患における持続中枢神経感作と言われる病態の疫学,基礎・臨床的な位置付けさらには患者のケアにむけての研究をまとめた.本総説は厚生労働研究班の各員の研究結果を示したものなので,必ずしもまとまりがない点に限界があるが,今までは疾患縦断的に診断治療がおこなわれてきた難治性疾患における中枢神経感作の役割を横断的にみたという意味でもわれわれの研究の結果は一部ではあるが解明したものといえる.結果として,中枢神経感作は種々の疾患,特に難治性のもので明らかに何らかの役割を呈していることが示せた.さらにその治療法の解明には至らぬまでも,患者ケアに繋がる方略を示せたものと考えられ,今後の研究の基盤となることが望まれる.
キーワード:central sensitization, central sensitization syndrome, refractory disease

PDFファイル(14P 3.9MB) :https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/37/2/37_166/_pdf


J-STAGE 日本衛生学雑誌 学会賞受賞論文 「化学物質過敏症 ―歴史,疫学と機序―」(2018 年 73 巻 1 号 p. 1-8):https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/73/1/73_1/_article/-char/ja/

加藤 貴彦(熊本大学大学院生命科学研究部公衆衛生学分野)

抄録の和訳:化学物質過敏症(multiple chemical sensitivity, MCS)は突発性環境不耐症として知られ、多岐にわたる臓器の非特異性症状という特徴のある慢性的な後天性疾患として記述され、低濃度の化学物質への曝露と関連づけられる。この症状名は1987年にカレン氏に名付けられたが、その症状名および診断基準は現在もなお議論されている。化学物質過敏症の病因学及び発症機序(病因論)の仮説について、神経学的、免疫学的、心理学的な障害に関する論文が多数上梓されてきた。しかし化学物質過敏症の根本的なメカニズムについてのリサーチは完成には程遠い。この論文は化学物質過敏症という名称と診断基準の歴史、また化学物質過敏症に内在する理論的及び経験的なメカニズムについての報告である。

論文4ページ:4、化学物質過敏症の発症機序より引用
「 1)神経学的機序 Miller は①化学物質の毒性により惹起される化学物質への耐性の喪失(Toxicant-induced loss of tolerance: TILT)と,②その後の微量化学物質曝露による症状の発現,という2 段階のプロセスを述べている(25)。また,Bellらは神経系変化による症状形成の過程の観点から,キンドリング(Kindling)や時間-依存性感作(Time-dependentsensitization)などの仮説を提唱している(5)。キンドリングとは,初めは何の変化も起こさないような弱い電気刺激,または化学物質による刺激を毎日繰り返し与えつづけると,10 日間から14 日間後には激しいてんかん様けいれん発作を起こすようになる現象をいう。キンドリングは,けいれん発現閾値量以下の薬剤を投与することでも成立し(化学キンドリング),この場合,神経系に明らかな病理学的障害が認められない。キンドリングが,MCS の特徴である微量化学物質への高感受性と,身体的検査所見に異常が認められないという点で一致することから,可能性のある仮説の一つとされている…」

論文のPDFファイル(8P 1.1MB):https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/73/1/73_1/_pdf/-char/ja


臨床環境医学(第27巻第2号)『疫学調査からみた日本の環境過敏症患者の実態と今後の展望』(2018年):https://i.kawasaki-m.ac.jp/jsce/27-2/27-2_05-Hojo.pdf
北條 祥子 1) 2) 3) 水越 厚史 1) 4)
1)早稲田大学応用脳科学研究所 2)尚絅学院大学 3)東北大学大学院歯学研究科 4)近畿大学医学部環境医学・行動科学教室

抄録:近年、先進国を中心に、環境過敏症(環境不耐症)と呼ばれる健康障害を訴える人の増加が報告され始めている。環境過敏症とは、通常では感じないレベルの微量化学物質(建材、受動喫煙、農薬、殺虫剤、芳香剤、柔軟剤由来)や物理的要因(音、パソコン・携帯電話・携帯基地局等からの電磁波(場))により多臓器に多彩な症状が発現する健康障害の総称である。代表例は、シックハウス症候群、化学物質過敏症、電磁過敏症等であり、アレルギー疾患と密接な関係があると考えられているが、その病態は科学的に未解明なことが多い。このような健康障害の病態解明や予防対策は、患者を抱える国々が、自国の患者の実態に関するエビデンスを集積し、情報交換・共有しながら検討する以外ない。そこで、ここでは、北條らが約30年間実施した日本における環境過敏症の疫学調査結果、殊に最新の疫学調査の概要を中心に示しながら、この問題の解決に対する今後の展望について述べた。 (臨床環境 27:83-98,2018)
《キーワード》環境過敏症、環境不耐症、化学物質過敏症、電磁過敏症、アレルギー疾患


『Perspectives on multisensory perception disruption in idiopathic environmental intolerance: a systematic review』(Published: 07 August 2018):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30088144/
Andrea Viziano 1, Alessandro Micarelli 2, Guido Pasquantonio 2, David Della-Morte 3 4 5, Marco Alessandrini 2

1: Department of Clinical Sciences and Translational Medicine, University of Rome’Tor Vergata’, Via Montpellier, 1; E sud Tower, 00133, Rome, Italy. andrea.viziano@gmail.com.
2: Department of Clinical Sciences and Translational Medicine, University of Rome’Tor Vergata’, Via Montpellier, 1; E sud Tower, 00133, Rome, Italy.
3: University of Rome Tor Vergata, Rome, Italy.
4: San Raffaele Roma Open University, Rome, Italy.
5: Department of Neurology, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, FL, USA.

概要
目的:特発性環境不耐症(IEI)としても知られる化学物質過敏症(MCS)は、広範な環境化合物に対する感受性を特徴とする自覚症状の一群を包含し、様々な器官に関わる症状およびQOLの低下を引き起こす。この系統的レビューの目的は、感覚路関連障害を分析した索引付き研究を中心に、MCSに関するエビデンスを要約することである。

方法:学術的な査読付き雑誌で1965年から2017年の間に出版された、このテーマに関連する英語の論文を医学データベースで検索した。特に、感覚器官を含む障害を描いた論文に焦点を当てた。関連論文の参考文献を調べ、さらに重要な文献を特定した。

結果:全文レビューの対象となった研究は58件であった。このうち、34の研究が選択基準を満たし、この分析に含まれた。異なる診断基準、均質な症状質問票の欠如、対照被験者の性格特性の一般的な発生率など、多くの変数が交絡因子として研究に偏りを与えていた。しかし、感覚経路、特に大脳辺縁系と関連する皮質領域での情報処理に関して、多少の変化があることが中程度の証拠によって示されている。最近の研究では、MCSコホートにおいて、注意の偏り、感作、辺縁系キンドリングの存在が示唆され、また、最近明らかになった感覚経路に沿った不顕性器質変化の存在も示唆されている。

結論:MCS/IEIは、感覚神経の上行性経路の処理が変化した結果であり、これが特異な性格特性と組み合わさって、集学的な臨床アプローチを必要とする多感覚疾患の基盤を構成していることを示す証拠が一致している。(www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました)


『Chemical intolerance: involvement of brain function and networks after exposure to extrinsic stimuli perceived as hazardous』(2019 Oct 22):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31640568/
Kenichi Azuma 1 2, Iwao Uchiyama 3 4, Mari Tanigawa 4 5, Ikuko Bamba 6, Michiyo Azuma 7, Hirohisa Takano 8, Toshikazu Yoshikawa 3, Kou Sakabe 9

1: Department of Environmental Medicine and Behavioral Science, Kindai University Faculty of Medicine, 377-2 Ohnohigashi, Osakasayama, Osaka, 589-8511, Japan. kenazuma@med.kindai.ac.jp.
2: Sick-house Medical Science Laboratory, Division of Basic Research, Louis Pasteur Center for Medical Research, Kyoto, 606-8225, Japan. kenazuma@med.kindai.ac.jp.
3: Sick-house Medical Science Laboratory, Division of Basic Research, Louis Pasteur Center for Medical Research, Kyoto, 606-8225, Japan.
4: Outpatient Department of Sick-house Syndrome, Hyakumanben Clinic, Kyoto, 606-8225, Japan.
5: Clinical Immune Function Laboratory, Division of Basic Research, Louis Pasteur Center for Medical Research, Kyoto, 606-8225, Japan.
6: Faculty of Education, Home Economics, Tokyo Gakugei University, Koganei, 184-8501, Japan.
7: Department of Human Environmental Design, Faculty of Health Science, Kio University, Kitakatsuragi-gun, 635-0832, Japan.
8: Department of Environmental Engineering, Graduate School of Engineering, Kyoto University, Kyoto, Japan.
9: Department of Anatomy and Cellular Biology, Tokai University School of Medicine, Isehara, 259-1193, Japan.

概要
背景: 化学物質不耐症(CI)は、低レベルの臭いや刺激のある物質への暴露によって引き起こされる、繰り返し起こる深刻な症状を特徴とする慢性疾患である。化学物質不耐症の病因については、長い間論争が続いている。本総説の目的は、臭覚・刺激性物質への曝露中および曝露後の感覚情報の神経学的処理について、脳機能とネットワークに焦点を当てながら知見を整理することである。

方法: 2000年から2019年の間に学術専門誌に掲載されたCIに関する科学研究を、医学・科学文献データベースを用いて系統的に検索した。CIに直接関連するヒトでの実験的研究の原著を報告し、臭気物質または刺激物質への曝露後(すなわち、化学的誘発試験)の関連する神経反応または脳画像を含む査読付き論文のみを対象とした。

結果:47件の研究がフルテキストレビューの対象となることが判明した。23の研究が選択基準を満たし、このレビューに含まれた。匂いや刺激のある物質への曝露中や曝露後の脳画像で、CI被験者と健常対照者の間に違いが観察されたことを示す証拠があった。また、これらの物質への曝露の初期と後とで、脳画像による差異が観察された。聴覚障害者では、大脳辺縁系および関連する皮質における外来刺激への曝露後の感覚情報の神経学的処理が変化していた。この変化には、過去に記録可能な被曝事象が関与している可能性が高い。

結論 :このレビューは、聴覚障害者の感覚情報の神経学的処理が変化していることを示す一貫した証拠を示している。今後、大脳辺縁系や関連皮質を介した外来刺激の処理と感覚の認知、および聴覚障害者の症状の発現について、さらなる神経生理学的研究が必要である。

キーワード 脳画像、化学物質不耐性、曝露事象、辺縁系、多剤耐性、臭気処理、前頭前野、心身症、感覚障害、感受性の低下


明治大学心理社会学研究 第12号 2016年『化学物質過敏症患者の「二重の不可視性」と環境的「社会的排除」』寺田 良一 (明治大学文学部心理社会学科教授):https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/19027/1/shinrishakaigaku_12_61.pdf

要約:現在日本には、70万人ないし100万人程度の化学物質過敏症患者がいると推計される。この数は、ほぼリウマチ患者の数と同じである。しかし、よく見かけるリウマチ患者に対して、化学物質過敏症の存在は、日常生活においてはるかに見えにくい。本論文においては、化学物質過敏症患者の存在の見えにくさ(「不可視性「)と、その結果でもある社会的な排除状況ないし被害構造を、これまで行なってきた意識調査の結果から明らかにしていきたい。

一つのキーワードは、化学物質過敏症の「二重の不可視性」である。有害化学物質による健康被害という点では同じであっても、水俣病のような典型的な産業公害病と化学物質過敏症は、社会的な見え方、受け取られ方において、大きく異なる。水俣病や四日市ぜんそくが、有機水銀や亜硫酸ガスのような、ほぼ単一の原因物質によって発症するのに対して、化学物質過敏症の原因物質や症状ははるかに多様である。まず、特定して認知されにくい点や、医師によってさえしばしばきちんと診断してもらえない状況が、第一の「不可視性」の原因である。また、原因物質の多様性ゆえに、(シックハウスのような事例を除いては)、原因物質の排出企業を提訴したり、化学物質の規制を求めたりすることがはるかに困難である。第2の、文字通りの不可視性は、化学物質過敏症患者が微量の化学物質に対しても反応してしまうために、外出や集会に参加することが困難なことが多いため、存在そのものが一般人から見えにくいことである。

こうした際はあるが、患者の被害は、産業公害患者に劣らず深刻である。多様な身体的症状はいうまでもないが、それ以上に、病態そのものが他者に理解されがたいので、しばしば誤解や偏見に遭い、失職や登校不能になることも多い。微量の化学物質によって脱力したり通常の行為が不可能になった患者に対して、周囲の人々は理解することができず、やる気を欠いているといった誤解をしてしまうことも多い。「二重の不可視性」とともに、周囲の理解可能性の低さが、「環境弱者」である化学物質過敏症患者に対する「社会的排除」ともいえる「被害構造」を作り出してしまうことが多い。

キーワード:化学物質過敏症 不可視性 社会的排除 被害構造


平成27年度 環境省請負業務 『平成 27年度環境中の微量な化学物質による健康影響に関する調査研究業務 報告書』https://www.env.go.jp/chemi/anzen/mcs/biryou27.pdf
平成28年3月(2016年) 学校法人 東海大学(総括研究者:坂部 貢)

「いわゆる化学物質過敏症の概念について 」7ページの報告書。以下は抜粋。
『1. 概念 いわゆる化学物質過敏症は、生活環境中の極めて微量な化学物質に接するとこにより多彩な不定愁訴を呈する症候群であるとされている。シカゴ大学の Cullen MR ら 1) のグループの定義が一般的であり…』
『2.疫学 本邦では、人口の約 7.5%がいわゆる化学物質過敏症対象者であるとする大規模な疫学調査が近年報告されている 4)。ノースカロライナ大学の Meggs WJ らの米国における調査 5)によれば、アレルギー患者は本邦とほぼ同様人口の約 35%、いわゆる化学物質過敏症は約 14%と報告している。 …』
『3.病態生理 未だ不明な点が多いが、気管支喘息, アレルギー性鼻炎, アトピー性皮膚炎,蕁麻疹等のいずれかのアレルギー疾患との合併は60~80%と高率である。なお、本邦における一般的なアレルギー疾患有病率は約30%である6)。…』
『5.臨床症状 症状を誘発させるものとして、農薬、自動車の排気ガス、建材,建材関連品および家具・日用品等から放散する揮発性有機化合物、暖房等の燃焼ガス、日用品(整髪剤、香料、柔軟剤など)等があげられ、何れも健康人では許容できる程度の極めて微量な化学物質との接触で生じる。認められる症状としては、嗅覚過敏、眼・鼻・喉の刺激症状をはじめ皮膚の紅斑・掻痒感、易疲労感、頭痛、集中力の低下、めまい、吐き気等、多臓器に亘る自律神経症状を中心に多彩な非特異的症状を示す 11)。 …』
『6.臨床検査 本症の確定診断に繋がる客観的検査は未だ存在しない。しかし、患者の多くが「嗅覚過敏」に伴う不快な症状を訴えることから、嗅覚伝導路・大脳辺縁系に関する脳科学的評価方法が最近注目を浴びている。Azuma ら 14)は、一般的な嗅覚検査キットを用いていわゆる化学物質過敏症患者での嗅素反応時の脳血流量の変動を、近赤外分光法(NIRS: Near-InfraredSpectroscopy)を用いて健常者と比較している。…』

  1. 診断基準、8.経過・予後、9.治療、10.文献

『Prevalence and Characteristics of Chemical Intolerance: A Japanese Population-Based Study』(2015):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25137616/
Kenichi Azuma 1 2, Iwao Uchiyama 2, Takahiko Katoh 3, Hiromitsu Ogata 4, Keiichi Arashidani 5, Naoki Kunugita 6

1: a Department of Environmental Medicine and Behavioral Science, Kinki University Faculty of Medicine , Osaka , Japan.
2: b Sick-house Medical Science Laboratory, Division of Basic Research, Louis Pasteur Center for Medical Research , Kyoto , Japan.
3: c Department of Public Health, Graduate School of Life Sciences, Kumamoto University, Kumamoto , Japan.
4: d Center for Public Health Informatics, National Institute of Public Health , Saitama , Japan.
5: e University of Occupational and Environmental Health , Fukuoka , Japan.
6: f Department of Environmental Health, National Institute of Public Health , Saitama , Japan.

概要
化学物質不耐性の有病率を推定し,その特徴を検討するために,人口に基づく横断研究を行った。日本の成人7,245人を対象にウェブアンケート調査を行った。Skovbjergによって提案された化学物質不耐性の基準により、有病率は7.5%となり、デンマークの人口ベースの調査から報告された値とほぼ一致した。女性、高齢、過去7年間のリフォームは、化学物質不耐症と正の相関があった。毎日の換気習慣によって症状の改善が見られた。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、化学物質過敏症、うつ病の病歴は、化学物質不耐症と関連していた。また、疲労感、抑うつ気分、身体症状も化学物質不耐症と正の相関があった。化学物質不耐症の原因、合併症、併発症、結果についてより良く解明することは、その予防と治療のための効果的な解決策を提供する可能性を持っている。

キーワード:成人、特性、化学物質不耐性、化学物質過敏症、疫学、有病率、心身症


・第41回日本毒性学会学術年会 「家庭用品中の香料成分によるヒト侵害受容器TRPA1の活性化」(2014.8.26)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/41.1/0/41.1_P-163/_article/-char/ja/ 
概要PDFファイル https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/41.1/0/41.1_P-163/_pdf/-char/ja(1P 590KB)

国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部、九州保健福祉大学薬学部 / 神野透人ほか

「…これらの結果より、柔軟仕上げ剤中の香料成分がTRPイオンチャネルの活性化を介して気道過敏性の亢進を引き起こす可能性が考えられる。」


『Toxicant-induced loss of tolerance–an emerging theory of disease? 』(Environ Health Perspect. 1997 Mar; 105(Suppl 2): 445–453.) C S Miller:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1469811/
C S Miller: Department of Family Practice, The University of Texas Health Science Center, San Antonio 78284-7794, USA. millercs@uthscsa.edu
全文PDFファイル(1.9MB):https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1469811/pdf/envhper00327-0048.pdf

抄録
本論文は、化学物質過敏症に関連するさまざまな臨床的観察を統合する疾患理論を提案することによって、化学物質過敏症の本質を明らかにしようとするものである。化学物質過敏症は、様々な毒性物質への曝露に伴う過敏症患者の耐性喪失と、その後、以前に耐性があった化学物質、薬物、食品、およびカフェインやアルコールを含む食品と薬物の組み合わせの極少量によって症状が誘発されるという2段階のプロセスの結果であるように思われる。化学物質過敏症はこのプロセスの結果であると考えられるが、観察されたプロセスをより明確に表現する用語として、毒物誘発性耐性喪失がある。このまだ証明されていないメカニズムまたは疾患理論の特徴は、ヒト暴露試験のデザインに影響を与えるもので、患者によって報告される症状の刺激性、離脱性(中毒に類似)およびマスキングが含まれる。マスキングは、化学物質への曝露に対する反応を鈍らせたり、消失させたりするが、その構成要素には、接近した時期の曝露の効果が重なり合うアポジション、順応または慣れ、中毒などがあると思われる。この分野の多くのヒトでのチャレンジ研究では、化学物質過敏症には生理学的な根拠はないと結論付けられている。しかし、これらの研究では、マスキングの役割については言及されていない。今後、チャレンジに対する反応を信頼性・再現性のあるものにするためには、バックグラウンドの化学物質曝露が実用的な最低レベルにまで低減された病院内の施設である環境医学ユニットで被験者を評価する研究が必要であろう。低レベルの化学物質曝露と症状の間に因果関係があるかどうかを判断するために、環境医学部門を利用した一連の仮定を提示する。(www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました)


Environmental Health Perspectives Vol. 105, Supplement 2: Chemical Sensitivity (Mar., 1997), pp. 457-466 (10 pages)『Individual Differences in Neural Sensitization and the Role of Context in Illness from Low-Level Environmental Chemical Exposures』
Iris R. Bell, Gary E. Schwartz, Carol M. Baldwin, Elizabeth E. Hardin, Nancy G. Klimas, John P. Kline, Roberto Patarca and Zhi-Ying Song
https://www.jstor.org/stable/3433353?origin=crossref

要旨:
本論文では、Multiple Chemical Sensitivity(MCS)の臨床現象を要約し、MCSの嗅覚・辺縁系神経感作モデルの概念と証拠を概説し、このモデルの曝露関連研究に対する実験デザインの意味について論じる。神経感作とは、断続的に繰り返される曝露の間の時間経過により、反応性が徐々に増幅されることである。感作の開始には単発の毒性曝露または複数の亜毒性曝露が必要であるが、その後の感作反応の誘発には低濃度または無毒性レベルの曝露が必要である。したがって、神経感作は、MCSにおいて、低レベルの環境化学物質が臨床的に重篤な副作用を引き起こす能力を説明することができる。感作の形態には、大脳辺縁系による発作の誘発(側頭葉てんかんと単純部分発作の比較)、行動、神経化学、免疫および内分泌変数の時間依存的感作がある。大脳辺縁系と中脳辺縁系の感作性機能障害は、MCSにおける認知、感情、身体症状の多くを部分的に説明することが可能である。脱現実化(見慣れた物や人が見慣れない、あるいは非現実的に見える知覚の変化)は、MCSによく見られる症状で、臨床神経科学の研究において大脳辺縁系機能障害との関連が指摘されています。感作は、条件付けや慣れといった他の神経生物学的な学習・記憶過程とは異なるが、相互作用がある(適応や耐性を比較)。これまでの研究では、感作、条件付け、馴化(適応)を含む MCS の仮説は、しばしば互いに切り離して考えられてきた。より適切な化学物質曝露試験をデザインするためには、MCS に関する様々な理論モデルや経験的アプローチを、これら相互作用の可能性のある現象の個人差に関するより大きな科学文献と統合することが重要であると思われます。(www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました)


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