02-2_2_03_カリフォルニア仕事関連喘息予防プログラム

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(2022.6.2)

カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH) は職場の危険による公衆衛生への影響を評価し、職業性疾病と傷害を予防するための勧告を行うことを義務づけられてます。CDPH内の仕事関連喘息予防プログラム [WorkRelated Asthma Prevention Program (WRAPP)]は、職場における喘息予防についての継続的なプロジェクトを進めています。規制機関ではないので、取り締まりはせず、健康増進プログラムとして職場環境の評価を行っている。職場訪問を行い、疾病や傷害を予防するための提言をしている。

WRAPPは、職場における香料による喘息の発症や再燃を調査しており、香料の使用が喘息と関連づけられたため、無香料ポリシーなど香害による喘息防止のための対策について啓発をおこなっています。


カリフォルニア州公衆衛生局 労働衛生支部 仕事関連喘息予防プログラム (WRAPP)ホーム : https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/Pages/WRAPP.aspx

このページには、労働者、医療関係者、雇用者、学校・託児施設における喘息予防プログラム、またトピックとして、「清掃と殺菌」「香料と仕事に関連する喘息」に関する記事のリンクなどが掲載されています。

サイトより引用:「カリフォルニア仕事関連喘息予防プログラム(WRAPP)は、労働者が仕事関連喘息のリスクにさらされる産業、職業、暴露を特定することを目的としています。危険因子を特定し理解することで、雇用者と労働者は仕事関連喘息を予防するための新たな方法を見出すことができます。」


「香料と仕事に関連する喘息」https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/Pages/Fragrances.aspx

サイトより引用:「香水、パーソナルケア製品、洗浄剤、芳香剤に使用されている香りの成分は、喘息を誘発する可能性があります。香水は、カリフォルニア州の多くの職場で使用されており、350件以上の職場関連喘息との関連が指摘されています。

Work-Related Asthma Prevention Program(WRAPP)は、職場の香りに関連する数百件の喘息症例を追跡調査しています。これらの労働者の病気は、学校、病院、オフィス、製造業など多くの屋内作業環境で発生しました。WRAPPは、香水が、喘息を持つ人々が仕事に関連して報告した最も一般的な曝露の9番目であることを発見しました。香水に関連する症例の4分の1近くは、新たに発症した喘息で、喘息の既往歴がないと報告されたことを意味します。」

このページには、カリフォルニア州公衆衛生局のカリフォルニア仕事関連喘息予防プログラム(WRAPP)が出版している、香料と仕事に関連する喘息に関する労働者、医療関係者、雇用者、学校・託児施設における喘息予防プログラムの文書へのリンク、またニューヨーク州が作成した喘息に安全な清掃用品リストへのリンク、カナダ労働局の健康と安全に関するサイトへのリンクが掲載されています。

香害啓発ちらし(Factsheet) 雇用者用:Fragrances and Work-Related Asthma: Information for Employers (PDF) – fact sheets, 2017:https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/CDPH%20Document%20Library/FragrancesEmployersEnglish.pdf

職場の香害対策:雇用者として、職場での香水、香料による喘息を防ぐために私は何ができますか

•香料の健康への影響について従業員を教育する
•無香料のポリシーを作成し、実施する
•以下の「追加リソース」セクションにある無香料ポリシーのモデルを、あなたの学校、オフィス、または他の職場にカスタマイズして使用する
•職場で芳香剤を使用したり、使用許可をせず、悪臭の原因を取り除く
•無香料の洗浄剤を選択する
•建物の換気を最適化して、新鮮な空気を取り入れる

香害啓発ちらし (Factsheet) 従業員用」:Fragrances and Work-Related Asthma: Information for Workers (PDF) – fact sheets, 2017:https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/CDPH%20Document%20Library/FragranceWorkersEnglish.pdf

論文:「セラピー用のエッセンシャルオイルからのVOCの放出」:Volatile Chemical Emissions from Essential Oils with Therapeutic Claims – journal article abstract, 2020:https://link.springer.com/article/10.1007/s11869-020-00941-4
トルエンは、70%以上のエッセンシャルオイルから検出されました。各エッセンシャルオイルは、9種類以上の潜在的有害VOCを放出していた。」

論文:「車用芳香剤からのVOCの排出」:Volatile Chemical Emissions from Car Air Fresheners – journal article abstract, 2020:https://link.springer.com/article/10.1007/s11869-020-00886-8
「この研究により、車の芳香剤が、潜在的に危険なVOCを含む多くの揮発性化合物の暴露源となりうること、そしてそのほとんどが公表されていないことが明らかになりました。人体への暴露で特に懸念されるのは、車内の狭く密閉された呼吸空間と、タクシーやライドシェアなどの商用車での不本意な暴露である。」

WRAPPの調査と勧告「カリフォルニア外来手術センターにおける、患者をエッセンシャルオイルで処置することによる従業員のエッセンシャルオイルへの暴露の調査」(2019.9.29):Investigation into Potential for Employee Exposures to Essential Oils Used to Treat Patients at a California Surgery Center (PDF) – workplace investigation, 2019:https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/CDPH%20Document%20Library/EssentialOilsInvestigation.pdf

2019年、WRAPPはカリフォルニア外科手術センターの調査を行った。救急の手術、出産を担当するカリフォルニア外来手術センターは、150人の看護師を含む300人のスタッフを擁する。この施設は患者をエッセンシャルオイルで処置をしている。WRAPPはこの処置による従業員のエッセンシャルオイルへの暴露の調査を行った。使用されているエッセンシャルオイル:ベルガモット、フランキンセンス、ゼラニウム、ラベンダー、レモン、ペパーミント、カモミール、ローマンカモミール、ワイルドオレンジに含まれている化学物質を調査した結果、エッセンシャルオイルに危険や刺激、また心配を感じるスタッフは、患者にエッセンシャルオイルを使用しないことを選択できるようにすることを勧告した。

論文:1993年から2012年にかけての、カリフォルニア州の職場における香料の曝露に関連する仕事関連喘息(WRA)症例:Fragrances and Work-Related Asthma–California Surveillance Data, 1993–2012 – journal article abstract, 2017:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02770903.2017.1299755
サイトより引用:「香料化学物質は多くの製品に使われる。労働者は芳香剤などで直接、また同僚の使うパーソナルケア用品によって香料化学物質にさらされる。カリフォルニアの「職業関連の喘息防止計画」の1993~2012年の調査では、香水曝露に関連するWRA症例(職場での喘息の症例)は合計270例であり、原因の9位、確認された全症例の3.8%に相当する。この270例の内訳は、242件が香水、32件が芳香剤、4件が両方だった。香料と関連づけられる喘息は、関連付けられないケースに比べて明らかに衛生・教育の職場で多い。香料が原因のケースのうち、4分の1が新たな喘息の発症だった。結論として職場での香料の使用は喘息と関連づけられる。これを防止するためには、労働者の教育、フレグランスフリーポリシー、性能の良い換気システム、良好なビルのメンテナンスなどの方法がある。」

無香料ポリシーの例文:Model Workplace Fragrance-Free Policy (Word) – model policy template that can be edited and customized for any workplace, 2015:https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/CDPH%20Document%20Library/model_fragrance_free_policy.docx


WRAPPのホーム から、「学校・託児施設における喘息予防プログラム」のページを見ることができます:https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/Pages/Schools.aspx

このページから、「健康的な清掃と喘息セーフな学校のためのハウツーガイド (Healthy Cleaning & Asthma-Safer Schools A How-To Guide ・PDF 80ページ)」がダウンロードできます。巻末のリファレンス・添付資料として非常に有益な情報がたくさん掲載されています。
https://www.cdph.ca.gov/Programs/CCDPHP/DEODC/OHB/WRAPP/Pages/Class-Guide.aspx

この文書のP. 29-30に、避けるべき清掃用品や、その理由、情報のソースが記載されています。

ー香料入りの製品を避けましょう
清潔な部屋というと、漂白剤のような特定の匂いを連想される方が多いと思います。喘息予防のためのクリーンルームには臭いがありません。喘息を誘発するという点で、香料は副流煙と同等であると医学研究所が発表しています (79, 80)
清掃用具に含まれる香料は、実際には多くの化学物質が組み合わされたものです。その洗浄剤に含まれる香料のうちには、めまい、癌、内分泌かく乱作用、喘息と関連する成分を含むものもあります。可能な限り、香りのついた掃除用具を避け、無香料のものを使うようにしましょう(81)。

79 Bridges, B (2002). Fragrance: emerging health and environmental concerns. Flavour and Fragrance Journal 2002: Volume 17: 361–371.
80 Institute of Medicine (2000). Clearing the Air, Asthma and Indoor Exposures, Executive Summary. p. 9.
81 Canadian Centre for Occupational Health and Safety (2012). Scent-Free Policy for the Workplace. Retrieved from http://www.ccohs.ca/oshanswers/hsprograms/scent_free.html

—消毒ウエットティッシュ、芳香剤、スプレーの使用を避けましょう:カリフォルニア仕事関連喘息予防プログラムは、教職員が抗菌ウエットティッシュ、芳香・消臭剤その他スプレー類によって喘息に起因する問題が起こった事例を検証しました。教員や保護者は、しばしば自分の清掃用品を除菌するために学校に持ち込んでいます。しかし、それらは喘息に安全なものではありません。学校区は、子どもたちや職員が喘息やその他の健康問題の原因となる成分にさらされる可能性を、そのような製品を持ち込むことを許可しない方針を打ち出すことによって減らすことができます。また、学校区は、承認された、喘息に安全な製品を教師に提供することができます。
教師、保護者、および生徒は、学区で承認された清掃用品しか持ち込めないようにします。もし通常の清掃に加えて教室の清掃が必要な場合には、マイクロファイバークロスや無香料のベビーワイプで十分であり、そうすれば職員や生徒が喘息の原因物質にさらされることはありません。殺菌剤が必要な場合は、殺菌剤の使用訓練を受けた管理者に連絡してください。子供には、塩素系漂白剤、第四級アンモニウム塩、グルタルアルデヒドを含むウェットティッシュを絶対に使用させないこと。

—健康スポットライト 芳香剤 = 喘息に安全ではない
芳香剤は悪臭への応急処置であり、 一般的な清掃用品と同様に、喘息やその他の健康被害を引き起こしたり、誘発したりする可能性のある成分が含まれている場合があります(82, 83, 84)。
芳香剤には、コンセントにさすタイプ、スプレー、液体、ジェルなど、さまざまな形態があります。これらは、悪臭を取り除くというよりも、悪臭を覆い隠すためのものです。芳香剤でごまかすのではなく、臭いの元を探し、解決する方が健康的です。例えば、カビの臭いを止めるために水漏れを修理することは、空気中に様々な化学物質を加えてごまかすよりもずっと効果的です。
82 Environmental Protection Agency (2013). An Introduction to Indoor Air Quality (IAQ). Retrieved from
http://www.epa.gov/iaq/ia-intro.html

83 NRDC. (2007). Health Facts, Protect your Family From the Hidden Hazards in Air Fresheners. Retrieved from http://www.nrdc.org/health/home/airfresheners/fairfresheners.pdf

84 Natural Resources Defense Council. (2011). Smarter Living: Family Health. Toxic Air Fresheners? Retrieved from http://www.nrdc.org/living/healthreports/hidden-hazards-air-fresheners.asp

—消毒用ウェットティッシュを避ける
消毒用ウェットティッシュは日常的に使用されていますが、通常、喘息誘発物質が含まれています。最も一般的な化学物質は第四級アンモニウム化合物類で、「アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド」「ベンザルコニウムクロリド」などです。また、塩素系漂白剤やグルタルアルデヒドが含まれていることもあります。これらはすべて喘息誘発物質です。さらに、多くの消毒用ウェットティッシュには、刺激のある香りが含まれていることがあります。美術作品の後片付けなど、普通の赤ちゃん用のお尻拭きで十分です。子供は消毒用ウエットティッシュを使ってはいけません。また、消毒用ウエットティッシュは手を拭くために使ってはいけません。